海水系機器防食技術

海水系機器防食技術の目的

海水を冷却水として使用する銅合金製の熱交換器細管の耐食性を向上させるためには、良質な保護皮膜形成が必要となります。
従来より、保護皮膜形成のために結晶状の硫酸第一鉄が使用されていますが、溶解後数時間で酸化によって沈殿が生成する欠点があります。このため、良質な鉄皮膜ができなかったり、注入配管のトラブルなどを引き起こすことがあります。これらの欠点を補うべく開発されたのが、鉄皮膜形成用硫酸第一鉄溶液のクリマイティ106Lです。

クリマイティ106Lの特長

  1. 空気による酸化を受け難く、貯蔵タンク内での析出や沈殿を生じることがないため、長期保管ができます(3カ月保障)。
  2. 鉄水酸化物の析出による、注入管の閉塞がありません。
  3. 結晶硫酸第一鉄(粉体)を溶解する作業工数の低減や作業者が薬傷する危険性を回避できます。
  4. 専用設備で作られ、ロット毎に品質検査を行なっておりますので、安心して使用できる薬品を納品いたします。

クリマイティ106Lの使用法

  1. 短期間の場合

    熱交換器・復水器の規模に合わせて弊社で仮設タンク・ポンプを設計・製作し、納品させて頂きます。

  2. 長期間の場合

    本設の注入設備を弊社で設計・製作し、納品させて頂きます。

■ クリマイティ106Lの物性

外状 青緑色透明液体
pH 約1.5
引火点 なし
第一鉄(Fe2+ 4.5〜5.5%
第二鉄(Fe3+ 2,000mg/ℓ以下
1.0mg/ℓ以下
砒素 1.0mg/ℓ以下
全水銀 0.005mg/ℓ以下
アルキル水銀 検出されず
カドミウム 1.0mg/ℓ以下
六価クロム 1.0mg/ℓ以下
全シアン 1.0mg/ℓ以下
有機リン 1.0mg/ℓ以下
PCB 0.005mg/ℓ以下

規制法令の該当はありません。

■ 取扱いおよび保管上の注意

  1. クリマイティ106Lは強酸性の液体です。取り扱いは必ずゴム手袋・防塵メガネを着用し、直接手などに触れないようにしてください。
  2. 誤って皮膚に触れたり、目や口に入った場合は、清水で十分洗い流してください。

■ その他

  • 本剤には重金属類は含まれておりません。
  • 屋外等で凍結の恐れがある場合、凍結防止処置を行ってください。
  • 不明な点については、弊社技術員にご相談ください。

■ 荷姿

タンクローリ、ケミドラム

■ 24時間放置試験結果

結晶硫酸第一鉄 溶液 クリマイティ106L
原液
5%溶液 10%溶液 20%溶液
kurimighty106L_5 kurimighty106L_10 kurimighty106L_20 kurimighty106L_geneki
  • 結晶を溶解するタイプの硫酸第一鉄溶液は溶解後、数時間以内に使い切る必要があり、連続注入には向いていません。

■ 結晶硫酸第一鉄使用による不適合

注入管 本設系統注入点 注入点後方
kurimighty106L_2_1 kurimighty106L_2_2 kurimighty106L_2_3
  • 注入管が閉塞してくると、復水器など数個所から注入している場合では注入量にバラツキが生じ、皮膜が均一に形成されなくなり、腐食の原因となります。

  • 沈殿物が大きく剥離すると細管の閉塞などがおこり、腐食の原因となります。

■ クリマイティ106Lによる皮膜の防食性

実機復水器にサンプル管を取り付け、クリマイティ106Lの防食性について確認を行いました。

  1. 注入条件
    1. サンプル管:C6871 アルミニウム黄銅管
    2. サンプル管取付位置:復水器A&B号機の1パス出口および2パス出口
    3. 鉄注入濃度:1.0mg/ℓ×10日間 ⇒ 0.1mg/ℓ連続注入
    4. ボール洗浄:なし
    5. 残留塩素濃度:0.13〜0.15mg/ℓ (復水器入口では1mg/ℓ以下)
  2. 結果
    分極抵抗値は20,000Ω・cm2(※)以上の防食上良好な皮膜が形成されました。 (※ JIS H 0530より)
    1. 数水日数
      0日 14日 35日 52日
      付着物量(mg/cm2 0.55〜1.00 0.55〜0.89 0.63〜0.89
      分極抵抗値(×104Ω・cm2 6.8〜31 9.6〜200 9.2〜140
      外観 kurimighty106L_3_1 kurimighty106L_3_2 kurimighty106L_3_3 kurimighty106L_3_4